日本の山を元気にする取り組み・・・木の駅プロジェクト

陽の当たる林国内では、安い価格の外国産木材に押され、長い間、国産木材の販売不振が続いています。そのため森林経営が苦しく、間伐などの山の手入れが行き届かなくなり山は荒れ放題となっています。

人工林は、放置されて間伐されませんと、木が込み合い、枝が繁り、日光が林の中に入らなくなります。
その結果、下草が育ちにくい環境になります。落ち葉や下草から作られる土壌が形成されませんと、少しの雨で、土砂崩れが起きやすくなります。
人工林は、杉やヒノキなどの針葉樹が多く、根が直根型で、広く根を張らないという性質であることも、土砂崩れが起こりやすい原因の一つになっています。

陽の当たらない林右の写真は、手入れが行き届かなく、陽当たりの悪い林です。
国内では、時おり、集中豪雨が引き金で地滑りが発生し、被害が発生しています。この原因の一つに、山の手入れがおろそかになっていることが指摘されています。

林業振興、国産材利用推進のために、国や自治体では、さまざまな施策を打ち出していますが、補助金制度にも予算の限度があり、何しろ、価格の国際競争という市場原理が根本問題ですから、決定打がなく、険しい道のりです。
国産材を使うと多少高くつくけど、みんなで少しずつでも使おうという、国民的盛り上がりを画策せねばなりません。
ジャングルジム 顔上向き当事務所の、オリジナル商品「JOSY」のフレームも杉間伐材を標準仕様とし、国産木材の活性化のため、まことに微々たるものではありますが、協力させていただいております。
左の写真は、九州、日田地方の杉を使用した、国内初の木製ジャングルジムです。

今回は、ユニークな考えで、森林整備と地域経済の活性化を目的に活動されている、「木の駅プロジェクト」についてご紹介します。

山には、放置された木(林地残材)がたくさんあります。
この木を自分たちで伐採して、農家の方が「道の駅」に大根やニンジンを出荷するのと同じように、地域に設けられた「木の駅」に運搬・出荷するシステムです。
集荷された木は、チップ工場などが買い上げます。
「道の駅」での野菜の出荷量がそれほど、大量ではないように、各人が、1回に出荷する木の量も多くはありません。軽トラックに載せて出荷する程度の量です。しかしながら、軽トラックでも、回数や、台数がまとまれば、合計の出荷量は大きなものとなります。出荷の調整も、簡単に出来ます。
「木の駅」がうまく機能している地域では、伐採された丸太を載せた軽トラックが、何十台も連なる、見事な軽トラ軍団を見ることができます。

山がきれいになり、町が元気になり、奥さんや孫にお小遣いがやれるようになり、地球温暖化にも役立つという、まさに、いいとこどりのプロジェクトです。

木の駅プロジェクトhttp://kinoeki.org/
そのイメージは、下の図のようなものです。(木の駅プロジェクトさんからお借りしました。)
個人地主や森林組合が、山の木を「木の駅」に出荷する。→その代金は、地域貨幣で支払われる。→集荷された木は契約先のチップ工場やバイオマス発電所などが買い取る。 →地域貨幣は、地元の商店街で利用される、というものです。

この事業は、高知県のNPO団体「土佐の森救援隊」が、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とリンクして成功を収めている林地残材収集システムの一部を、大規模プラントがなくても全国どこでも導入できる形にして移築するという社会実験です。
kinoekipro現在、全国の30以上の地域で活動中ということです。もしかしたら、皆さんのお近くでも、木の駅プロジェクトをやっているところがあるかもしれません。